写真、萌、茶、読書。わんこと暮らしたしあわせな日々。雑多極まりない雑食系Weblog。
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・ 恩田陸 『象と耳鳴り』
象と耳鳴り12編からなるミステリ短編集。
所謂アームチェア・ディティクティヴもの…なのかもしれないけれど、謎を秘める者、謎を解く者…それぞれの人間の内側を描いた短編集として、とても魅力的な一冊だった。

何よりも、登場する関根家の面々のなんと魅力的なことか!
淡々として見えるのに人間味に溢れ、飄々としているのに真摯な目を持ち、何処かに少年少女のような部分を残した彼らが愛しくてたまらなくなる。

私にとって、恩田陸のミステリを読むことは、“動く歩道”を歩くことに似ていると思う。流れに乗り、普段では考えられない速さで進んでいることに、乗っている間は気づかない。けれども、不意に眩暈を覚え、足許がおぼつかなくなるような感覚にはっと気がついて振り返ったとき、いつの間にか“動く歩道”は終わっていて、随分遠くに来てしまったことへの感慨と、決して不快ではない軽い絶望感にも似た気持ちを覚える。

“曜変転目の夜”の切なさ、“どこかで聞いた話”の背筋の薄ら寒くなるような感覚、“待合室の冒険”の緊迫感(私は春くんがたまらなく好きだ…!)…12編がそれぞれ趣の異なった話ではあるけれど、それぞれ読み終えたあとに、深く息を吐いて、今回もまた随分遠くまで連れてこられてしまったものだ、と思いながら、読み終えたそばからまた読み返したくなってしまう。

しかし、結局、何度読んでも最後に残されたほんの少しの謎の前で、私は何度でも呆然としてしまうのだ。またしても、随分遠くまで連れて来られたものだなぁ…と思いながら。

全編を通じてあたたかく心地好い筆致なのに、何度読んでも感じる“動く歩道”が終わる瞬間のような、奇妙な浮遊感を伴う心許ない幽かな不安を含んだ余韻がたまらない、深く、濃密な短編集。

濃密であるがゆえに体力は要るけれど、何度でも読みたい本リストに追加決定。

[Trackback]
象と耳鳴り (恩田陸さん、読書中…@柊さん)
「象と耳鳴り」恩田陸 (本を読む女。改訂版@ざれこさん)
TBP 恩田陸さんの本
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コメント
こちらにもしつこくトラックバックをしちゃいました。すいませんです。
「動く歩道」ですかああ。言い得て妙、ですねえ。あの降りたときの不安定感、確かに、わかる気がします。
何はともあれ恩田作品の私的ベストはこれです。関根家大好き。春、いいですよねー。
2005,10,19 Wednesday 01:27 - ざれこ
ざれこさん、コメント、TBありがとうございます!

>動く歩道
私はいなかの子なので、日常的にあるものではないんですが(笑)、なんとなくあの降りたときの心許ない感じや、気がつくとすごい距離を進んでしまっている感じが似ているなぁ…と思っております :)

私も今まで読んだ中ではユージニア、Q&A、象と耳鳴りがベスト3です :D
春、いいですねぇ…♪なんというか端々に見える品のよさと、育ちのよさ、それに相反するような切れ者っぷりがすごく好きです♪
2005,10,19 Wednesday 23:40 - ヒカル
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「象と耳鳴り」恩田陸
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