写真、萌、茶、読書。わんこと暮らしたしあわせな日々。雑多極まりない雑食系Weblog。
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・ 伊坂幸太郎『ラッシュライフ』
ラッシュライフ人と人とは繋がっている。
それは時にバトンをつなぐようにだったり、まったく別の場所で時間を共有していたり。

それをこんなにドラマティカルに、そして緻密に描くとは!

終盤、何度“……え!?”と絶句してページを戻る、ということを繰り返したかわからない。まったくバラバラだとは(勿論)思っていなかったけれど、こんな風に繋がっていたなんて…!と何度も何度も驚嘆させられた。

泥棒を生業とする黒澤。
リストラされ、ひょんなことから老犬と一緒に行動することになった豊田。
カウンセラーの京子。
“高橋”を信じている河原崎。
…こうして書いていても、後半に畳み掛けるように明らかになる彼らの繋がりを思い出して、気持ちがざわざわしてくるほど。それらの繋がりに、ちょっと出てきただけだと思っていた人の人生がさらに繋がって、最後に繋がってゆく。

とにかく巧い、と思った。
しかし何故か読了後に爽快感はなかった…というのが正直なところ。
伊坂幸太郎作品が2冊目で、これの前に読んだものが『グラスホッパー』(関連エントリ)で、テイストが近かった所為か?とも思ったのだけれど、読了後数日考えて、ようやく思い当たった。

文中で何度も何度も出てくる“老犬”という表現に引っかかっていたのだ。
最後までこの表現に違和感を感じながら読んでしまった、というのが爽快感に繋がらなかったのかも、と。
私にとって老犬といえば、少なくとも14歳を超えている犬であり、世間一般に“シニア”と呼ばれるようになる8歳というのはまだまだ若い犬…ということになってしまう。ましてや、作中に出てくる“老犬”は柴系という設定。小型犬と中型犬の境目だとすれば、14歳まではまだまだお元気、というイメェジが払拭できない。
そして、まだまだお元気な盛りでは、作中でふっと見せるような何処か神々しい感じというのは感じられないのではないか…というのが*実感として*あるのだ。

…どうでもええがな、と思うようなところではある。重箱の隅的かもしれない。
でも、作中の犬にどうにも“そりゃあ人間にとって都合がよすぎやしないかね”とちょっと意地悪な気持ちになってしまったのは本当。少なくとも19歳で旅立ったソックさんに、一種の神々しさを感じるようになったのは17歳を超えて、身体が少し不自由になりはじめてからだった。その頃になれば、犬も丸くなり、決して作中に描かれていたような犬ではありえないというのが実感である。
結局のところ、私にとって“老犬”という言葉は実感を伴いすぎた言葉なのだ。
もしも、“老犬”という表現がなかったら、もっと手放しで面白かった、と言えたのかもしれない、とちょっと思う。

それと、もうひとつ引っかかったのは、これはあからさまに『グラスホッパー』を先に読んだ所為なのだけれど、描かれている女性が似通っていないか?ということ。なんとなく同性として感情移入しづらい…というか、ああ、こういう部分あるけど認めたくないなぁ…と感じる女性が登場すると、なんとなく気持ちが重くなる。そのあたりがちょっとつらかった。

しかし、本当に後半一気にバラバラだったピースが繋がっていくさまはとにかく凄い。
決してこの作品は映像化できないだろう。
バラバラだったピースと、バラバラだった時間がひとつに繋がった瞬間、そこにはただただ驚嘆して、呆然とする自分がいる。
本、という表現媒介でなければ出来なかったであろう、という作品に出会えることは、それだけでとてもとてもしあわせなことなのかもしれない。

個人的には、彼らのその後、というのもとても気になる。
いろいろ引っかかるところがあった、という割に、私はやっぱりこの作品が好きなのかもしれない。

以下おまけ。
ほんもの。

そらのうえから、こんにちは。
どうも。ほんものの“ろうけん”です。 (ソック)

本物ですねぇ…(笑) (家来)

(写真は2005年5月10日撮影。当時19歳。)

なんとも悟りきったような表情でまどろみ間際のソックさん。
こちら、まごうことなき“老犬”のお姿でございます :)
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コメント
TBありがとうございました。
うちの柴犬は18歳の時に家出をして、そのまま帰ってきませんでした。
看取ってやれなくて悔しいです。
もう一匹の雑種は、同じく18歳ごろに大往生しました。
彼も仕事で看取ってやれなかったですが、母が見守る中
安らかに息を引き取ったそうです。
確かに14歳の彼らはまだまだ元気でしたね・・・
2006,02,15 Wednesday 00:50 - ざれこ
ざれこさん、コメント、TBありがとうございます!

ご一緒に暮らされたわんこが2匹とも18歳を超えられているなんてすごい…!!
我が家のわんこ、ソックさんは去年、19歳で大往生して、まだ“老犬”という言葉は生々しく、実感を持ってしまう言葉なので、ちょっと違和感がありましたね(苦笑)
柴系の大きさのわんこだったら、14歳はまだまだお元気なさかりだよなぁ…何歳なのかな、この犬…とそんなことばかり気になってしまいました^-^;

でも、老犬の時折見せる神々しさというのはちょっと不覚にも涙してしまいそうになりました…(そこ泣くとこじゃないから…!と思いつつ(苦笑))
2006,02,17 Friday 00:40 - ヒカル
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