写真、萌、茶、読書。わんこと暮らしたしあわせな日々。雑多極まりない雑食系Weblog。
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・ 角田光代 佐内正史 『だれかのことを強く思ってみたかった』
だれかのことを強く思ってみたかった     集英社文庫
表紙の写真の、雨の気配も、晴れ間の気配も感じない、どうしたらいいのか所在無くなるような空と、“だれかのこと”“を強く思って”“みたかった”という不可思議な段組に心惹かれてジャケット買い。

佐内正史による“東京”という街の写真と、角田光代による16篇の短編(掌編に近いかも)で構成された一冊。
掌編とはいえど、写真との一体感があり、濃密さを感じる16篇だった。

正直なところ、私は“東京”という街そのものには思い入れがないので(住んだことも、住もうと思ったこともない所為かもしれない)、この本の“街としての東京の写真”そのものにはあまり何かを感じるということはなかった。
けれど、淡々とした言葉で語られた文章に、気づけば“とぷん”と入り込んでいて、ページを繰った瞬間に表れる写真は“風景を写し取ったもの”ではなく、“今、自分が立っている場所”のような感覚になり、何度も呆然としてしまった。
(特に“上等なカーテン”の後の写真は、ああ、確かにこういう、どうにもならない孤独感ってある、というリアリスティックな感情として、胸に痞える何かがあった。)

角田光代の本は今まで何冊か読んでいるけれど、いつも“体力が要るなぁ”と思う。
決して文章が重たいわけではない。
けれども、淡々とした筆致で書かれた文章は、シンプルであるがゆえに、普段出来るだけ見ないようにしている自分の中の“おんな”という部分にするりと入ってくる。
それが時に厭になるぐらいリアルだったりするのだ。
そのあたりが“体力が要るなぁ”と思う所以なのだろう。

特にこの本では“見なかった記憶”が痛い。非常に痛い。
何度読んでも息苦しいような、泣きたいような、胸が詰まるような気がする。
読み終えた後に現れる、彩度の低い、銀杏の葉で覆われた道(の写真)の真ん中で、巡る季節と、見たものと見なかったもの、経験したものとしなかったもの、かつてだれかのことを強く思っていた自分…時間軸も何もばらばらになった世界で、ただしばし立ち尽くすような錯覚を覚えるほどに。

購入は文庫版だったのだけれど、単行本だとどんな風に印象が違うのか見てみたい。
#でも個人的に佐内氏の写真は人物写真のほうが好みだな…と思う。
#読んでいる間は、写真が好みかどうか考えて見てはいなかったのだけれど…。

そして、1年と少し前も、角田光代の本を読んで、本当に哂ってしまうほど同じようなことを書いていた。(関連エントリ:角田光代『この本が世界に存在することに』(2005/08/04))
…色々な意味で成長しねェなぁ(苦笑)
#此処まで同一思考の自分がいっそ天晴れだ…。

【参考】
 ・サナイマ (佐内正史氏写真ブログ)
Book/Music/Movie - comments(2) - trackbacks(0)
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コメント
佐内さんの写真が大好きで、角田さんの物語も大好きで、なんと素敵なコンビなんだ!とひとりで喜んでました。
最近、佐内さんの文庫写真集「ロマンチック」を買ったんですが、
やっぱり写真は大きく見たいなぁという気持ちでした。
実は逆に佐内写真は町のものが好きだったりします。
そして角田さんのお話はなんかゆるりとしている印象を受けてました。
それぞれ感じ方って違って面白いなぁと改めて思いました:)
2006,11,30 Thursday 01:25 - えじお
えじおさん、おひさしぶりです :D and コメントありがとうございます!

えじおさんは東京にお住まいなので、またちょっと違った感想を抱かれたのかもしれませんね :)
私にとって東京って、いろいろな意味で“物語のなかの場所”という印象が強くて、どうもうまくフィルターがかからないというか…
リアルに実感できないぶん、気持ちのほうが妙にリアルに伝わってきたのかもしれません。
#…あとは…ね…年齢もあるんじゃないかと…(年寄)

Weblog拝見してると、本当にアクティヴに活動なさっててうらやましい限りです :D
寒くなりましたので、お風邪など召されませんよう…。
2006,12,03 Sunday 04:07 - ヒカル
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