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・ サクラ大戦歌謡ショウ 五周年記念公演 海神別荘

サクラ大戦歌謡ショウ 五周年記念公演〜「海神別荘」より〜新・歌謡全集III (Amazon.co.jp)
DVDは限定生産で、販売はすでに終了。

ブロ番ガイドのサクラ大戦特集で視聴。
配信開始から何度も観たのですが、今回の劇中劇である泉鏡花原作“海神別荘”の奥が深くて、なかなか感想が書けずにいました。(J○GEMの不調もありますが…)

5周年記念公演ということで、ステージにも銀橋が作られて表現と演出のヴァリエーションが広がった感じがしました。キャスト陣の安定感は相変わらず素晴らしいし、殊に今回の劇中劇は何度観ても感ずるところの多い仕上がりになっていたと思います。
(細かいところではメイクとウィッグの雰囲気が変わって、垢抜けたような…)

一幕は下町情緒あふれる、可愛らしいシーンが多かったのですが、“敢えて舞台で演る”必要性があまり感じられなかったのが正直なところ。脚本のほうで二幕の海神別荘につながる“親子の愛情”というものに極端にこだわりすぎた感が否めなくて…。、“サクラ大戦”というベースである以上、このストーリーならばアニメでもよかったのでは?と思うような部分がちらほら。その辺がちょっともったいない感じもしました。
#でもいつもお笑い担当(?)のベロムーチョ武田こと武田滋裕氏は格好良かった!

さて、二幕の劇中劇“海神別荘”。
泉鏡花の戯曲、“海神別荘”が原作の劇中劇で、あちこち端折りはあるものの、劇中劇としての時間などの制約を考えると非常にコンパクトに、かつ巧くまとめてありました。

お恥ずかしながら、私はあまり“戯曲”というジャンルを読むのが得意ではなく、鏡花の原作“海神別荘”は未読だったのですが、一度視聴してから読み、再び視聴し、更にもう一度鏡花の“海神別荘”に戻り…。
そうしてみて、強く感じたのは“美しい日本語を声に出して表現することの美しさ”と“文字としての日本語の美しさ”というもの、それぞれの素晴らしさと奥の深さ。
特に女房役の富沢美智恵女史の所作や科白回し、間のとり方などが非常に艶っぽくて、“ああ、日本語って美しいなぁ…”と何度も感じました。

そしてまたこの“海神別荘”の奥の深さ。
すごいですね。単純に内容だけ考えても色々な解釈が可能だし、その解釈の分だけ演出方法があり…戯曲というジャンルを“読みづらい”というだけで敬遠してきたのをちょっと反省…。

初めて観た時には公子の愛情も、美女の愛情も人間としての驕りも、美女の親の愛情も、それぞれ三様に随分勝手なものなのではないか、と感じました。けれども、愛情というのは、おそらくそもそも勝手なもので、愛情を愛情として受け入れている者同士以外では分かり合えないものなのかもしれません。そして、それを愛情として感じあっている者同士以外にひけらかす必要もない。全編を通じて、私は“愛情”というものについて、そんな風に考えました。

人は自己、自分で満足をせねばならん。人に価値をつけさせて、其に従ふべきものぢやない。(近寄る)人は自分で活きれば可い、生命を保てば可い。然も愛するものとともに活きれば、少しも不足はなからうと思ふ。
―泉鏡花『海神別荘』より
一番好きな公子の科白です。こうは思っていても、本当にそのように生きるのは難しいのですけれども…。

さてさて、だんだん“鏡花の”海神別荘の感想になりかかってきたので、ちょっと戻して…。

今回の音楽はクライマックスの“すべては海へ”(劇場版で使われたものとは別)が圧巻でした。特に劇中劇の音楽は情景描写と物語の進行性とのバランスが良くて、曲が挟まって場面が止まったり滞ったり、というのがなくてとても良かったです。二幕のオープニング“海の宴 花の宴”の侍女たちのかしましくも可愛らしいシーンも大好き。

そうそう、劇中劇の幕間の浪曲の切なさに、胸を打たれました。三味線って、浪曲ってすげぇ!!と。(いや、だからといって突然浪曲にハマったりはしませんが…)
更に演じられた国本武春氏のコミカルなシーンとこの幕間のギャップにもおくちあんぐり…。

とにかく盛りだくさんで、5年目という節目にふさわしい、完成度の高い作品でした。
これは劇中劇のために中古DVDを探してしまうやも。
そうそう、特典Diskに入ってた“巴里花組 ミニライヴ”もなかなかでした。
これはまた別途感想エントリします。

[参考]
 ・「海神別荘」初日レポート (Game Watch)
 ・「海神別荘」Webチラシ (シアターガイド・オンライン)
 ・泉鏡花「海神別荘」 (日本ペンクラブ:電子文藝館)
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2005,03,11 Friday 02:48 - 全ては海へ
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